小舟で15分位走ると
いつもの島の300mくらい沖のサンゴ礁の浅い場所の反対側に
キングコングライトと呼ぶ波があると聞いた

いつもは波はなく
様々な条件の時に立つ

結果的に僕もこの時だけしか行っていない

もう2度と行かない場所の一つだろう

同時にここは村人から
サメの巣があると聞いた

巣ってなんだ
海底で寝るホワイトチップ?
話ぶりでは、かじるサメのようだから
違うニュアンスだ

前に水深4mde
シルバーチップに囲まれたタヒチは
確かに群れでいて
あの時は危なかった

数日前、たまたま村長の家に連れていかれ
村人の持つカバの束を奉納?し
セブセブという儀式を受けた

木の葉でなんかぶつぶつ
まるで神社のあの白い大麻(おおぬさ)
のように頭の前で降る

「これでお前は
海で無事」

なんの儀式?

仲良しの村人「なんていうかお守りのようなもの」

キリスト?

「いや違う」

マタンガリに近い?(海や月を祈った自然信仰)
これは宗教が散らかす前の
どの国も同じく、宇宙や地球の万物を尊んだ大切な時代の
今では名残り雪

村長

前にな
ヨットでいきなり島に来て
島にも海にも挨拶なく勝手にサーフィンした白人が
足首かじられたぞ

海の神様にな
やっぱりな
うん

怖い!
いるんだあそこにサメ

でもな
ミキーはな大丈夫だぞ

お前はな家族だからな
何度もここにきて村人はあなたを
みんな知っている

カバ(胡椒科の木の根を乾燥させ絞った汁、味は薄い泥水?木の根の味)
少し覚醒する

翌日
ミキ〜いく?ライトへ
仲良しの漁師

双眼鏡で見ても遠すぎて僕にはわからない

僕一人?

そうだよ
ミキーだけ

そりゃそうだよね

俺が沖で待っててあげるから
大丈夫

サメ?いるかな〜

大丈夫さ
セブセブ済みだろ〜


いつもの
適当でおおらかな
フィジアンには笑うしかない

船は波の場所の近くで沖へ退避する

転覆し危いないから
飛び込んで!

じゃブンと入ると、泡が落ち着くと見えるのは
全てが青黒い世界

海底が見えないドロップオフの海は
いつも不気味だ
こんな場所にサメはいる

パチャパチャ泳いでる僕は
ルアーにすぎない

サメは神様だから
泳ぎながら、見えない青黒い下や足元を見て呟いた

徐々になだらかな海底が見えてきた

こうなれば安心だ
サメがいいたら浅瀬からは来ないから
沖を見ていればいい

しかし浅いな〜
波から逃げれるかな?

ふとまた
サメの巣ってなんだろう

メジロやタイガーシャークは泳いでるからな〜

よくないよくない!
忘れよう

浅い岩盤の海底の波の回転エネルギー
のその速さはすごい

水深は岩の上で2mないから(立ち泳ぎの足ひれの先が買い手で擦れている)

岩の深い穴やチャンネルに潜って、波の爆風をかわすしかない
あ〜ウニがいるな穴

沖から妙な1列の山が盛り上がり始め
島の円形の海底にそいラップ(包む)してくる

ドドーン!胸にに響く

泡だらけの海底
体を滑り込ませ
うかないように
岩を足ひれと肘で突っ張る

漫画のようなここいる自分を
水面で大笑いする

こののっぴきならない状況がたまらない

ポツポツ雨が降り
水中から見る水面が美しい

エンジン音がし小船が近づいてきた

どうしたの?

子供たちをさ
無線で
迎えに行って欲しって言われてさ
どうする帰る?

う〜ん
どの位で戻る?

30分

いや
ここにいるよ
必ず来てくれよ

昔のままの大自然の音と景色に独り
独特な怖さと、ここの穢されていない
妙な雰囲の包み込まれるような時間にいる

波を潜って交わすこと60回を超えると
スコールのような
土砂降りだ

おっ!
でかい波がきた!

ぎゅ〜んと音がしそうな水の軋むような回転
全身を抜ける水の壁
ギリギリでかわし反転してシャッターを押したのが
この1枚

し中で回転し反転して
立ち泳ぎのようになりながら
カメラを握る右手を出すと
カメラと体が、水の流体に巻き込まれ
波に持ってかれそうになるのを
今も覚えてる

あと数十センチで回転する波の向こう(空中)に出るギリギリだ

波の速さも然り
落差がすごかった
既に今の波は足元から消え去っている

速い波と神経を使う潜りに
緊張の糸が切れかかる

時計を見ると
あれから既に1時間
船は来る気配がない

フィジータイム!を忘れていた

ダメだかな
危ないな〜
帰りたいな〜

波の距離感がズレて怖くなった
周囲も暗くなり始める

ただ潜って交わすだけの海
もう撮影どころではない

覚悟を決め帰ろうと泳ぐと

全てが水の世界のグレーの景色から
微かなエンジン音が聞こえ

深緑の雨がっぱの漁師の船が現れた

ごめん!ミキー
フィジータイム!

そうだよ遅いよ

フィジータイム!

寒さで震えるからだで船に這い上がり
よかったな〜と
思いふける

島の小屋に戻り、冷たい雨水を浴びた、地に足がつく安心感と贅沢

海はやはり聖域で別世界
恐ろしい紙一重の美しさに酔いしれた

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