1つ

夜星がいたるところで輝いていた
風で空気が揺れているのか?

手の届かない宇宙を見
向こうからもこちらを見ているのか?

地球にある宇宙は海である

太陽はともあれ
この付近の海にいても濁りが無くなるのかの保証はないから
今朝の磯へ行くか?と迷ったが

うっすら既にそこへ行くことを
感じていた

波の中を裸で泳げと19年前パラオの墓前で
声が聞こえたように

岬に位置したこの一帯は、ゴロゴロした石の海岸
波とは言えない波はある
よくよく考えると、波にとらわれる事は無い
その少し先の未来で待つ1枚は
波ではなくいいはずだ
海で、人間界の常識の全てを捨てて、泳いで来たのだから
これもまた、捨てる
こと

1つ気になるのは25年ほど祈りに行く龍宮神社が目の前の山にある事

龍宮とは綿津見の神,龍神、市来島姫、せおりつひめの神の関連
龍宮神界の入り口である
祝詞の祓戸の大神たちとは

せおりつ姫
はやあきつひめ
いぶきどぬし
はやさすらいひめ
をさし、それぞれ川から海へ海の根の国(海の彼方の国)で待ち構え
順番に穢れや罪や禍いをきれいに無くす

今回はどうも呼ばれている気がした
いつかは行かねばならない海
波が無いから泳いでも撮れないと決めつけていた

毎月のようにきているから
どこか安心感もあるが
ドン深の青黒い海は怖い

水は透明か?
そもそも暗いうちに海へいくので
水中の濁りは明るくならないとわからない

4時に起きないと
5.40分頃の日の出に水中にいられまい

やがて潮風と波音に包まれ海辺の宿で寝た

朝目覚ましをかけ忘れたのに
4時4分に目覚めた
普段は絶対に4時に起きない奇跡

真っ暗な海は風と打ち寄せる波の筋が見える

透明度はわからない
途中明るくなりはじめ、元の海岸に波があったから戻る?か
と余計な事も考えたがやめた

海鳴りを反射する巨大な丸石の海岸に着くと
明るくなり始めた水平線に雲はない

でも波?が微妙だ
巨大なゴロゴロした石しかない海岸に
うねりがぶちあたり、白い飛沫
まるで時代劇のオープニング

どこから入り
どこから上がり

もしあがれなくなったら
どこへ泳いで戻るか?
シュミレーションをする

あの固そうな一面の巨大な丸石に波ごと当たると
危ないな〜カメラ壊れるな

祝詞を詠んで海から鳥居にお辞儀した

波をかわしフィンをはき
海が引いた瞬間に飛び込むと
あっという間に引き波で沖へ流された

透明度は90%
水は雪解けのように冷たい!

泳いで岸から5mくらいの
ぐちゃぐちゃに海が暴れる場へ戻った

常に海底の石
海岸の石をみながら
泳いだ

太陽が霧でフレアーしながら
赤からオレンジ黄色へとかわっていく姿を
見ている間もなく潜り続けた

20分後、海がどんどん浅くなる

そろそろ帰った方がよさそうだ

冷えてぶるぶる震えながら
海岸へ戻った苔ですっころばないよう
巨大な石を波除にし足ヒレを脱ぎ
ホットした

神社と海へお辞儀

古来、今に我々より信心深く
感応力も、直感力もあった先人が

龍宮神社をこの岬に崇めた理由が
光を通じすこし観えた感じがした

当然同じようには、わかるまいが
そのかけらを、独り暗い海から神社の山をながめ
ながら漂った

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