旅の途上

遠く遠くに透明な水と大波を探していた
2002年、フィジーの離島まで2日かかった
セスナと小舟で青黒い水の外うみの小さな島の輪郭を
包むように50mくらい遠くから崩れてくる波がある

ドミノ倒しのように
包む波
時には垂直に切り立ち
この体験がなかればいまはない

なんて大袈裟のように書くが
ちっぽけな人間には、紙一重であの世へ

この怖さと見えない青い線が
今を生かしているのは間違いない
この怖さが胸に染み込んだまま抜けない

僕以外は全ての黄金比と調和とハーモニーで
成り立ち、何とも心地よい優しげな青いもう1つの地球の宇宙

魚たちも珊瑚もすべてが
完全なる世界
ネイティブアメリカンでいう コヌングやプト

明らかに明白に
人間だけが地球と海のいらない異物だと感じた

都会で生きていたら
一生知り得ない美しくも恐ろしい時間に
人は身を置くと良いに決まってる

真剣になる
感覚を澄まさなければ
死ぬ可能性が相当に高い

同じ時間
街を歩いている自分をバカだな と
妙な幸せ感に笑みが溢れた

これこれ
これ
この感覚が大好きだ!

誰もいない海
は禅問答もす暇もない
正直でしか成り立たない

その19年後日本の出雲夕暮れ
闇と光に全てはあると知る

全てはこの2つの、いや1つのバランスの円運動に付属しなかればならない

闇にも鏡があり
光のも影がる
水にも立体面があり影が生まれる

全てを削ぎ落とし、持ち込まず、捨てた世界

写真的にギリギリの闇と明るさ
どっちも撮るのは人間の目だが
これが本当の色と景色
人間の目はいわば、瞬時に調整するソフトで見る

人の目は無視
気にしない

自分が、自力でいって観てきた世界が全て

引くとか足すとか

良いとか、悪いもなく

香りもなく匂いもなく

その瞬間に強烈なレイで自らを切る

陰陽であり忍と侍の世界に通づる

独り海を泳いでいくうちに
気づいていくこと
身についていく力がある

見えないものが見えてくる

夢で香りや味
あったこともない人の顔を鮮明に覚えている

ここち良い感覚で川やうみを俯瞰して見ている自分の
胸に残る感覚に驚いて起きる

現実?
夢?

ともかく
旅は面白い
同じ時間生きるのなら、好きなことや興味のあること
に体を運びやってみるといい

バカなネット社会はどうでもいい

すぐには分からないが
やがてそれは向こうから前触れもなくやってくる

終わりはない
完結も完成もない

無限にたくさんの少し先の未来が
待っている

決まり事も
競争でもない
自由だから

心配しないこと
考えすぎないこと
後悔は捨てること

全ては中立

前へ前へいくための準備

何度溺れても泳ぎきれば
死ににきれる

生きたいか
死にたいのか

やるしかないのだから
何も心配も問題もない

ドーンといくしかない!

明日の命は誰も分からない
今の命を自由自在に呼吸する

Back to list

ページの先頭へ戻る