過去の海

1830年頃葛飾北斎が
浮世絵に 百人一首姥えとき

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど
名こそ流れて なほ聞こえけれ

大納言公任

滝の音は絶え
水の音が聞こえなくなってから、長い月日が経ちましたが
この滝の名声は今もなお聞こえています

北斎は女が三味線を引き、宴会をする絵を合わせた
江戸庶民は将来の名声よりも、今の享楽
三味線と滝音の風景を肴に楽しむ

全国の今住んでる街も
150年前は渓谷や滝や美しい自然の原風景に
包まれていたが、山を崩し、滝や川や海を埋め立て今がある事実

浮世絵でしかもう見ることのできない
日本の風景や水に囲まれた江戸の街と
その国土を愛しんだ人々の情緒も絶滅したのか?

やがてこの海岸と海も
破壊の手が及び消えていくかもしれないコンクリートで固められたとしたら
悲しいですが、重機や石油製品がない江戸時代に比べたら
その破壊のスピードは凄まじいものです
動植物も毎日あらゆる種類が絶滅しているそうです

波音を聞いていた山や岩や砂
空気の分子や水の分子は過去の音や香りや景色を
知っていながら、そこで全く違う景色に変わり果てても
古来からの全ては記憶を持つ

数億年前から続く
波音は宇宙にも届いているかもしれない

NASAが宇宙に向け知的生命体に
鯨の鳴き声を流しているように

我々が死に
写真が1枚残っていたら

未来の人がこの写真を見て
波音や色彩を妄想し空想するのだろうか?

地球が作り上げた芸樹的景色を
わずか人生数十年の人間が
無責任に安易に破壊する現実

100年後の海へ

写真は1秒の500分の一
0.02秒

宇宙から来た太陽光は
水中へ8.19秒後の光です

過去、未来、過去

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