人は器 写真の教え

写真の師
いや
生きる哲学を教わった

柏原誠

事務所にもあらゆる写真、芸術の本
ユングやフロイトや様々な本がや山積み

まだデジタルカメラのない時代
1枚に秘める、魅力と魔力を存分に表した人

LIFEで活躍した戦場写真 ユージンスミスのアシスタントをした
その後ユージンは軍に歪めらた写真を捨て
誰もが見ない、水俣へ本当のドキュメンタリーと人の内に光をあてた

デジタルカメラが押し寄せた1999年
ある日、いつもの明大前のスタジオへ

こう言った

変わらぬ笑顔で
俺な
明日から写真やめるわ

えっ!
オヤジさん!
やめるの?

あのなデジタルな
今にみんなデジタルになるぞ

あれはつまらね〜
車な1枚撮ってパソコンで色変えて
走らせて

もう写真じゃないな
俺たちの腕を馬鹿にしてる
仕事もうんと安くなるぞ

その時はわからなかったが
今思うと人を呼ぶ運と妙な千里眼があったオヤジ

お前な
やっぱり海へ行け
あと人だ

なんかうつる気がするぞ俺は

人の中にあるものを
バット!鷲掴みにして
バ〜ン!と押せ!

いいな

いいかカメラは所詮機械だ
こんなもんハッセルでも写ルンですでもなんでも同じよ
これはただの機械だ

カメラに撮られるんじゃないよ

いいかな

ここにあるな
ハッセルでもなんでも
使うんなら使え!

カメラはどんなカメラも所詮一緒よ

ファインダーは見るなよ

勢いよく行け!

そんな強運なオヤジも数年後
急に病魔で他界した

数年後海の個展で
手紙をもらった
次回はそれを

あの世で1番先に会いたい人

本人は無意識で言った
一言が

一生懸命努力し走った事が

人を勇気づけ変える

生き様という事を教わった男

人は器よ

いいな


天国で笑ってるオヤジへ

オヤジやユージンの真髄
己とのドキュメンタリーを貫く

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