恐ろしい海

祝詞を詠んだ

吸い込まれるように沖へ流れた
ワクワクして薄暗い海に一人

しかし怖いなここ
戻れるだろうか?

波は来るが岸の岩場で崩れる
困ったことにこれでは撮れない
水中は巨大な丸い石がゴロゴロ
薄く濁って海藻が揺れ動く

ここでダメなら他は撮れない

5分ほど防水カメラを握り
流されては戻り
波を探しカメラを正対に待っていると

くぐもった音で
勝手にシャッター連写し始めた

この場合は水没!

案の定みるとどこからか海水が
数センチたまりコネクターがショート

どこから入ったのだろう?

ガッカリだな〜

余計な気持ちを捨てて

取り急ぎ、カメラ本体にかからないように
ケースをレンズ側に傾け
水を一か所に溜めながら
岸へ向かうが

崩れる波が危険で戻れない

間隙をついて一気に戻ると
波に押されながら
肘で石でブレーキをかけ
戻る
ケースの位置はそのまま
片手は使えない

急いで足ヒレのまま
巨石の裏に身を潜め
崩れちる真っ白な、波濤をかわした
 
安全な場所までアヒルのように
戻ると膝から血が出ている
いわばの貝殻で切ったようだ
でも
深くはなさそうだ

太陽の輝く中

ケースを開けると
カメラは奇跡的無事だった

謎に満ちた海の時間

恐るべし

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