前後左右瞑想


行けば行くだけ
何かが起こるのはこの世の常

焦ることなく
無意識の先の絶妙なタイミングが
待っているから心配なく

海へ行く前には必ず瞑想をするようにしてきた

昔、マウイで知り合いのプロサーファーが朝早く
ドアをノックした。
変な英語で
ミキちゃん〜!good wave ~! パーフェクト〜!

今は亡きクリスバンダーボードが呼びにきた

泳いだのは岩だらけの濁ったホーキパビーチ

クリスはロングボードを抱えて
ラジオ体操もしないで
楽し気に海へ滑るように
沖へ沖へ

僕も促されるまま
カメラをセットし軽い運動で水へ入ると
あれよあれよという間に、遥か沖に流され

目の前にきた波にのまれ続けた

問題は飲まれるの仕方ないが

波を目の前に先月パイプラインの横で溺れかた感覚と
恐怖が胸にざわざわ集まったという事

今でも、あの怖さの電気信号?か液体?が

胸にスーーッと集まりながら
呼吸を乱しながら支配する感覚が残っている

目の前2mくらいで崩れた大波に
気持ちが引けると
腰の軸がぶれる、上半身と下半身がつながらない
結果弱越しで
鋭く潜れずに

泡の中でボコボコにされる
また空気を吸おうと水面を探すと
波の白い雪崩が勢いよく、水面を潰して弾けながら
迫る!

嘘でしょ〜
と大笑いできなかったあの日

またもや逃れず

真っ暗な海でグルングルン
ボッコボッコに引きずられ
殴られ、苦しいのと恐怖で胸が潰れそうになる

胸が潰れる思いとはこのことか!

結局さらに流され、巻かれ足を切り
片足のフィンは脱げてなくなり

何にも撮れずに
海を横に横に泳ぎ逃げ岩場からなんとか上がる

クリスは
後でどこいった〜の〜と
笑う

これも全て次へのタイミングで
この体験がなければ、数日後死んでいたかもしれない

そんな経験が
自然と瞑想や果てまで
忍者の呪文まで覚え
自分の持つ不可解な、生き残る可能性を宇宙に溶け合わせていく

人間は所詮小さな石ころだ

どうあらがおうと
無理なわけだが
どうしても人間様は肩を張る
意地をはる

全てを捨てて
旅へでろと

禅の本にあった
一言

なんだかたわかった気がした

死ぬときは死ぬ
大切なのは
死んでも悔いのない自分でいたかだ

海は嘘もつかず
掛け値もない
人間は嘘もつくし
肩意地はってカッコつける

海と宇宙は
ありのままだから美しい

怖いのは人間だけで
魚は海を怖いと思わないだろうな

限度がない美しさを
身を以て知った以上
もう逃げることはできないわけです

海の怖さは人間様の感想で

ただそこにあるのは
宇宙の法則に呼吸する無限な美しさ

もう一つ気づけば
そこには太陽が必ず必要だ

限りなく正直に海に頭を下げて
延々と泳いで潜る

教訓?戦訓?
他人の予定に合わせないこと
おいしそうな話に乗らない
キッパリ自分の感覚と歩幅で断固断る
ラジオ体操第一で海へ行かない

必ず海は一人で行く。
 
行くなら行く
行かないなら行かない

メリハリと
武術でいう拍子(間合い)を観ること

なんて
ぶつぶつ
うみで独り言を唱えて20年

俺は太陽を撮っていたと知る
のはあの日の4年後

くどいと言われようと
それが自分流の海への作法

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