即す

この色を見て
驚いた

これが海の色なんだと
フィルムが教えてくれた

よしこの島へかよう。

Kodak VS100 36枚どり
ビビットに発色するこのフィルムを
2〜3週間の旅で40本程持って行く
撮り終えたフィルムの金属にマジックで日付を書く
濡れたりしないように
タッパウエアに大切にしまう

空港のX線で感光するぞ!という噂に
鉛の袋に入れた
今思えば当時はセキュリティーも甘かった

日本に戻ると大切に現像所へ運び

わくわくして待ったものだ

露出?ピントなど
撮れているか?どうなのかは
現像したスリーブを現像所のライトボックスで
黙って見た

いまでは電気製品なカメラでパチリ
その場で確認出来るから
簡単になり、現地で露出やシャッタースピードの修正も出来る
リスク、スピード、納品は早いが
失った時間も実は大きい

デジタルが出始めた1999年
海を無為にたくさん写す事が怖かった
低い位置から、他人の家に入らせて頂く
パパラッチな写真に
海に失礼がないように

まだまだ泳げない3俺は
36枚で十分だと決めた

すこしずつ
すこしづつ

撮らせて頂く

常に死の線を行き来きしていた
このフィジーやサモアの絶海の孤島で

海に殺されないように

いや海に殺させないように

シンプルな道具と
シンプルな心で
挑みたかった

やがて波に呼吸をあわせ

波に即するようになっていく

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