伝承

20mmレンズで波に入り込む
師匠の師匠ユージンスミスが沖縄戦でドキュメンタリーを求め撮影したように
マグナムフォトで戦場を撮っていたキャパの
50mmレンズで被写体に近寄らねば という心持ちは確信をついている

水中で望遠もズームレンズは使わない
できるだけ、シンプルな道具で
波に溶けたかったから
余計な事すらしたくない

ひたすら波の裏側を
必殺技で泳いで生き延びる!

うごめく波と一体になり
その波の懐こそが命を守るのだが

時にして巨大な波から離れたら巻き込まれ
ボコボコにされる

つまりは心が逃げたら死装束

諸刃の剣を上手に使う

最も危険な場であるが
最も安全な場でもある

その紙一重の差に惚れた
写真はそのご褒美だ

「そこんとこよろしく!」
と言った矢沢永吉の一言は深い

どうせファインダーは見ないから
手を伸ばした位置と角度がその全てを決める

レンズの絵の広さ(画角)を感覚に覚えさせ
できるだけ撮りたい場に入り込むしかない

これは 人も同じだろう

かよいあう
いや
相手に撮るぜ!
という仰々しい殺気を消して撮る

波と同じ

時間がすぎさり
苔むした庭のごとく

裸で波の裏側を独り旅をしてきた
時間が教えてくれる事がある

時間はあるようでない
あっと言う間に消えて行く

彼らのように想い考え哲学しながら
大胆に生きる!

間違いなく
必ず
考えも及ばない喜びと
時間がどこからともなくやってくる

1枚の写真はそれを具現化してくれます

話し
書く事は確かにしてくれます

写す事も嘘がばれます

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