伊賀 延寿院 松本篤妙

ある霧に包まれた雨の朝

今から5年程前この伊賀の瀧寺へ参った
茶色い古いポルシェを道の脇にとめ

木の扉に閉ざされていた
お堂の中心で拝むと

ドアのあく音がして
一人の男が現れた

それがこの人
延寿院 33代目住職 松本篤妙

今だ山奥の瀧音と静けさにとけ込みながら
1700年佇むお堂には
赤目不動を祀る

忍達が修行をし
祈った寺と聞き捨て
瀧へいく前にご挨拶をと
引き返すと
たまたま出かけようとした住職と逢った

昨夜霊験が詰まったこの山の宿の露天風呂で
未知の明日の行くへに憶いをはせていた
あの時間がよみがえる

この近くには1581年に織田信長が伊賀をこの世から消滅するため
僧侶、神主、女子供まで殺戮と放火から逃げ延び
最後迄降伏せずに戦った砦,柏原城があると物の本の書いてあった

澄んだ空気の森の奥から観られている様な
独特な闇の気配を感じていた

それが
一転、雨の朝
お堂を開けてくださり
お不動様や役の行者と御逢い出来た
不思議

ここから全ては始まり
時間と共に深く長く彼らやこの地と繋がっていく

旅へいく事
頭で考えず
行動する事

不可思議な未来がここでも待っていた

今日は
年に一度の
瀧を祀る修験者と延寿院の祈りの護摩の日

強烈な修験者と住職と神主が
このお堂にこもり
法螺と太古の響く中は濃密だ

強くパチパチとはぜる護摩木の炎を
神仏に捧げ
炎で新たに生まれ変わる日

伊賀の山奥で地味ながら
深く深く祈りが継承される日

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